【講師】
豊田 浩志 上智大学名誉教授
専攻分野/古代ローマ史・初期キリスト教史
著作/『キリスト教の興隆とローマ帝国』南窓社、1994年;ピエトロ・サンデル(翻訳)『バチカン サン・ピエトロ大聖堂下のネクロポリス』上智大学出版、2011年
ホームページアドレス/ http://www.koji007.tokyo/
メールアドレス/ k-toyota@ca2.so-net.ne.jp
現代の多くの人びとにとり、拒否すれば死が待ち構えているのに、あえてそれを選択した人びとが何を考えていたのか、は決して明白ではないでしょう。この疑問を、紀元後3世紀初頭の『ペルペトゥアの殉教者伝』を手引きにして、皆さんとともに考えてみたいと思います。
この『殉教者伝』は、古代において脇に追いやられていた女性の肉声が残存しえた希有な存在で、かねてより注目されてきましたが、『殉教伝』叙述を文献学的・心理学的に批判的に読み込むことで、出来事の実際の解明とその後の伝説化のプロセスを、参考文献に準拠して追求します。
<参考書>(必須ではないが、講読により理解が深まるもの)
『ペルペトゥアの殉教:ローマ帝国に生きた若き女性の死とその記憶』
著者 :ジョイス・E・ソールズベリ(後藤篤子監修・田畑賀世子訳)
出版社:白水社
ISBN :978-4-560-09648-2