【講師】
田中 裕 上智大学名誉教授 キリスト教文化研究所名誉所員
東西宗教交流学会会長 日本ホワイトヘッド・プロセス学会
統合学術国際研究所(一般財団法人)常任理事
専攻分野/宗教哲学・科学哲学
著作/『逆説から実在へ(科学哲学・宗教哲学論考)』
ホームページアドレス/ https://www.facebook.com/yutaka.tanaka.1291
メールアドレス/ Cosmopolitan008@gmail.com
西田幾多郎と田辺元の晩年の宗教哲学をキリスト教の視点から論じます。
この講義では、はじめに明治維新の頃の日本哲学の背景にある儒教、大乗仏教、および神道の諸思想の伝統を参照します。そして、この日本の伝統的な諸思想によって教育された世代の哲学者達が、明治の「文明開化」の時代に解禁されたキリスト教に対して、どのように応答したか、どのようにして自己の属する伝統を刷新して、普遍的な「世界思想」を志向したか、その統合に向かう哲学的思索の努力を回顧します。 さらに、同時代の内村鑑三に始まる「無教会」のキリスト信仰、岩下荘一に始まる「カトリックの信仰」にも触れつつ、明治維新から昭和の敗戦にいたるまでの日本のキリスト者の困難に満ちた足跡をたどります。最後に、敗戦直前の西田幾多郎の宗教哲学と、敗戦後の田辺元の宗教哲学を取り上げます。とくに田辺元の「懺悔道」と「無即愛」の「菩薩道」を、キリスト教の立場から考察します。
<参考書>(必須ではないが、講読により理解が深まるもの)
『懺悔道としての哲学』
著 者:田辺元
出版社:岩波文庫
ISBN:978-4000091060