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< 講座概要 >
糖尿病は、インスリン(ブドウ糖を細胞内へ取り込む作用やエネルギーの利用・貯蔵、タンパク質の合成などに関わるホルモン)の作用不足によって起こる、慢性の高血糖状態を主徴とする疾患です。糖尿病はいくつかのタイプに分類されますが、中でも1型糖尿病はインスリンを合成・分泌する膵臓内にあるβ細胞の破壊・消失によってインスリンの作用不足が起こります。また、2型糖尿病は、インスリンの分泌低下や抵抗性をきたす素因に、過食や活動量不足、過体重、ストレスなどの環境因子および加齢が加わることで発症します。その他にも、糖尿病以外の疾患や妊娠を契機に発症するタイプの糖尿病が存在します。
糖尿病の診断には病歴(現病歴、既往歴、家族歴、生活歴など)の確認や身体診察が参考となりますが、最終的には血液検査や眼所見(糖尿病網膜症)の有無を確認することが必要です。特に、血液検査では血糖値(空腹時ないし随時)とHbA1c(グリコヘモグロビン、採血時から過去1〜2か月間の平均血糖値を反映する)の値が重要です。これらの検査値は診断のみならず、診断後における血糖コントロールの指標にもなります。その他にも、糖尿病を有している患者さんは、血圧や血清脂質(コレステロール)、体重の目標値が異なるため、日頃から気に留めておくことが必要です。
本講座では、糖尿病に関わる数多ある検査値や目標値の中から、特に参加される方々と共有させて頂きたい数値を厳選し、お話しさせて頂きたいと思います。既にご存知の内容が含まれているかもしれませんが、皆様の生活や通院治療などに少しでもお役立て頂ければ幸いです。
< 受講生へのメッセージ >
糖尿病が強く疑われる方、もしくは否定できない方の数は、いずれもおよそ1,000万人と推定されています。今、自分が糖尿病の診断に至らずとも、将来発症する可能性は否定できません。また、日頃関わっている身近な方が、糖尿病の治療を行っている可能性も決して低くありません。糖尿病に関する知識や技術を深めることは、ご自身の生活をより豊かにすることはもちろん、糖尿病の患者さんが健常者と変わらない生活を送れるような社会づくりにも必要なことだと考えております。本講座の内容でご不明な点など御座いましたら、忌憚のないご質問やご意見を頂ければ幸いです。
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