< 講座概要 >
源氏物語には800首近い和歌が含まれています。和歌は、その機能によって贈答歌、独詠歌、唱和歌の3つに分類されますが、源氏物語の作者は、この和歌の機能を見事に活かしてすばらしい作品を書き上げています。この講座では、それらの和歌に焦点を当てながら、源氏物語を読み進めていきますが、物語の和歌は、その和歌がどのような場面で、どのような心理状態で詠まれているのかを知らなければ、和歌そのものの意味も正しく読みとることができません。従って、和歌だけでなく、その前後の文章や物語の流れも読んでいくことになります。
今期は柏木巻の続きを読みます。
男子(後の薫)を出産した女三の宮は、源氏のよそよそしさから、その心中を推察し、絶望しました。彼女は源氏の反対にもかかわらず、出家を強く望み、父朱雀院に哀訴し、ついに出家を遂げました。それを知った柏木は、見舞いに来た夕霧に、自分の死後、正妻の落葉の宮のことを託して、まもなく息を引き取りました。
薫の五十日の祝儀が行われ、源氏はすくすくと育つ薫を見、また、女三の宮の尼姿を見るにつけて、複雑な思いとともに、何とも言えぬ哀しみを覚えるのでした。
柏木の四十九日の忌も過ぎた後、夕霧は柏木の遺言通り、落葉の宮を見舞います。宮の母御息所が応対に出て、宮と柏木の短く悲しい縁を嘆き、同情した夕霧は御息所と和歌を交わしました。その後も夕霧は度々見舞いに通いますが、たまたま御息所の具合が悪く、落葉の宮自らが応対し、二人は和歌を贈答しました。いつのまにか、夕霧は彼女に心を惹かれるようになりました。
※本講座は「源氏物語の和歌(35)Bコース」と同じ内容です。Bコースに同時にお申込みはできません。
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