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< 講座概要 >
27ヵ国が加盟する欧州連合（EU）は、壮大な、ないしは未完の実験といえるでしょう。まず、欧州統合の歩みを経済面を中心に解説します。欧州統一通貨（ユーロ）の流通開始は、米ドルに次ぐ巨大経済圏の出現を印象づけました。華々しい側面が強調される陰で、エリート中心の経済統合から取り残される民衆の不安や、官僚主導の意思決定の弊害にも目を向ける必要があります。その上で、当初は想定されなかったさまざまな問題に揺れる欧州統合の今後を探っていきます。具体的には、次のようなテーマを扱う予定です。
① 平坦でなかったマーストリヒトへの道
② 欧州統一通貨 ～導入した国の論理、しなかった国の論理
③ ユーロ危機とEUの未来
④ 共通政策の可能性 ～農業・エネルギー（原子力）を例に
⑤ 移民・難民に揺れる欧州とブレグジット（英国のEU離脱）
この講座に引き続き、「11-6 開発途上地域の政治経済学」が開講されます。両者はそれぞれ独立の講座なので、いずれか一方のみ受講することも、両方受講することも可能です。
< 受講生へのメッセージ >
先進国クラブのイメージの強かった欧州ですが、今日のEUは内部に経済格差を伴った国家連合へと変化しています。欧州統合の壮大な実験を、よい面も悪い面も含めて振り返り、再評価することが求められています。遠藤乾『欧州複合危機』（中公新書、2016）をはじめ、多くの有益な解説書があります。比較研究には、外国の事例を通して自分たちのことをよりよく知るという動機があるものです。私たちを取り巻く問題状況を考える一助として頂ければ幸いです。
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