< 講座概要 >
紆余曲折を経て現代政治に定着した環境政策。多くの重要なテーマがありますが、本講義では、地球温暖化対策と脱原発政策に注目します。
環境問題は、南北問題とワンセットで解決される必要があり、「持続可能な開発」はその文脈に位置づけられます。地球温暖化対策をめぐる国際的取り組みは、今日では、京都議定書以後の秩序づくりに焦点が移っています。ドイツ・メルケル政権が脱原発の方向に舵を切ったことは注目されましたが、そこには、欧州規模での経済統合や民主主義のあり方とも関連し、さまざまな現代的テーマが見出されます。
講義内容は、具体的には次のようなものを予定しています。
【第1部 地球温暖化対策】 〜国際的取り組み
@「持続可能な開発」をめぐって 〜先進国と途上国
Aリオから京都へ 〜温室効果ガス削減のための国際条約
B「ポスト京都議定書」時代の新しい取り組み
【第2部 脱原発政策】 〜フクシマ以後の世界
C脱原発に舵を切ったドイツ 〜倫理委員会報告書を手がかりに
D欧州電力市場自由化の中でのドイツの脱原発政策の意味
Eゆらぐ国策、問い直しのふたつの方向性 〜なぜ原発に反対するのか
F「負の遺産」とどう向き合うか 〜NIMBYを超えて
本講座は、「環境思想」(7回シリーズ)に引き続いて開講されます。ふたつの講座は独立の講座なので、いずれか一方を受講することも、両方を続けて受講することも可能です。
< 受講生へのメッセージ >
環境問題は、政治的テーマとして定着した感があります。環境政策で高い評価を得ている国のひとつがドイツです。情報の少なさゆえ日本では過度に理想化されることもありますが、ドイツが環境先進国たり得ているのは、政治制度や文化的伝統、経済的・地政学的位置などさまざまな要因からの帰結といえます。「ドイツにできてなぜ日本は」式の性急な議論に陥らず、よい面も悪い面も含めて現状をリアルに観察し、私たちの進むべき道を考えたいものです。
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