< 講座概要 >
■授業の目的
映像を伴うスペイン語の⾳声を聴取し書き起こすことによって、実際の会話スピードで起こる音声の変化や、リズム・イントネーションの違いがわかる聴解の力を養うことが目的である。
第1回 外国語学習教材と映画
外国語学習の様々な手段について、『外国語上達法』、『私の外国語学習法』、などを手がかりに、効果的学習法としての映画の効用 について考える。
★授業に先立ち、千野栄⼀『外国語上達法』岩波新書(⻩329)の 第11章「レアリア」を読んでおくこと。
第2回 スペイン語圏の映像文化
Marcelino, pan y vino、El espíritu de la colmena、Mujeres al borde de un ataque de nerviosなど、スペインの代表的な映画を紹介しつつ、スペイン語圏の映像⽂化とその歴史について概観する。
第3回 外国語音声聴取の諸問題
⾳の聴取と知覚とに関与する様々な要素が実際にどのように影響するかを実験によって確認する。
第4回 歌詞の書き取り演習
歌曲の歌詞書き取りの演習と講評を通して、母語の場合と外国語の場合とで、どのような問題が生じるかを検討する。
第5回 外国語聴取の音学的考察
主に日本語人学習者がスペイン語音声を聴取し書き取る場合に起こる現象を、実際の例を検討しつつ、音声学的説明を試みる。誤聴取の様々なパタンと原因を検討する。第6回(次回)口頭発表の予告と説明を実施する。
第6回 スクリーンプレイ学習法
英語学習の⽅法の⼀つとして定着しているスクリーンプレイ学習法 について実例に即して概観する。スペイン語ではどのような問題点 が現れるかを考える。映画と外国語学習について⼝頭で発表し、スペイン語学習の過程で実際に体験したこととの結びつきについて考える。
第7回 聴取実習@
「エル・スール」前半部をみてストーリーの把握と、スペイン語のリズムやメロディー、イントネーションを観察する。
第8回 聴取実習A
「エル・スール」後半部をみてストーリーの把握と、スペイン語のリズムやメロディー、イントネーションを観察する。
第9回 聴取実習B
指定箇所の聴取書き取りの実習を行う。受講者は各自書き取りを行い、担当教員が個別に指導する。ノートを⼀冊書き取りの実習用に準備すること。
第10回 聴取実習C
引き続き、指定箇所の聴取書き取りの実習を行う。受講者は各自書き取りを行い、担当教員が個別に指導する。ノートを⼀冊書き取りの実習用に準備すること。
第11回 聴取実習D
個別に書き取りを行うので、不明の箇所は大量にためないで、こまめに担当教員を呼び、問題を解決すること。各自の書き取り結果を発表し、相互に音声学的検討を加える。
第12回 聴取実習E
Milagros(Rafaela Aparicio)のセリフに着目し、彼女が登場するシーンを見てアンダルシーア方言の音声的特徴を観察する。
第13回 スペイン語音声学の展望と最終試験
各国語音声学の教育と研究における意義について考える。引き続き、筆記試験を実施する。辞書の参照は可である。
< 受講生へのメッセージ >
■授業の方法
スペイン語音声学、言語聴取法の概論について印刷教材を用いて 学問的基礎を構築する。教材として編集されたものではない⼀般の 映画を用い、音声聴取の実習ならびに音韻論と正書法を意識した書 き取りの実習を行う。また毎回、和西辞典未収録と思われる表現を10個ずつカードに取って整理する。
■予習・復習
授業時間には限りがあるので、実習に用いる映画は各自で繰り返し見て、場面とストーリーを時系列的に記憶するように努める。聴取書き取り実習とそれに続く音声学的考察の成果を踏まえて、当該部分を再度検証する。
■教科書は使用しない。印刷教材は担当教員が⽤意する。
参考書︓Manual de fonética española. Articulaciones y sonido s del español.Barcelona:Ariel, 2007.
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