< 講座概要 >
源氏物語には800首近い和歌が含まれています。和歌は、その機能によって贈答歌、独詠歌、唱和歌の3つに分類されますが、源氏物語の作者は、この和歌の機能を見事に活かしてすばらしい作品を書き上げています。この講座では、それらの和歌に焦点を当てながら、源氏物語を読み進めていきますが、物語の和歌は、その和歌がどのような場面で、どのような心理状態で詠まれているのかを知らなければ、和歌そのものの意味も正しく読みとることができません。従って、和歌だけでなく、その前後の文章や物語の流れも読んでいくことになります。
今期は若菜下巻後半を読み終え、柏木巻に入る予定です。
女三の宮の懐妊により、源氏、女三の宮、柏木の三人は、それぞれの苦悩を抱え込むことになりました。源氏の企画した賀宴は延期されたままでしたが、いよいよそのための試楽が六条院で行われ、その宴席で、源氏は柏木に痛烈な皮肉を浴びせました。柏木は恐怖と絶望のあまり病の床についてしまいました。十二月二十五日、女三の宮は朱雀院に参上し、おごそかな賀宴が行われました。(若菜下巻)
柏木は病床に臥したままであり、秘密を知らぬ両親の嘆きは大きく、それがまた彼の懊悩をいっそう深めるのでした。死を覚悟した柏木は、女三の宮に最後の文を送り、小侍従に宮への思いを訴るのでした。
女三の宮は男子(薫)を出産しました。盛大な産養の儀式の中、源氏はひとり暗然たる思いをかみしめます。女三の宮は源氏の思いを推し量り、絶望し、出家を願うのでした。彼女を案じ、ひそかに六条院を訪れた父院(朱雀院)に出家の意志を訴えました。源氏は反対しますが、彼女の決意は堅く、朱雀院は自らの手で得度させました。その直後、源氏は、宮を出家へと追い込んだのは六条御息所の死霊であったことを知りました。(柏木巻)
※時間帯が2コースあります。いずれかのコースをお選びください。
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