< 講座概要 >
源氏物語には800首近い和歌が含まれています。和歌は、その機能によって贈答歌、独詠歌、唱和歌の3つに分類されますが、源氏物語の作者は、この和歌の機能を見事に活かしてすばらしい作品を書き上げています。この講座では、それらの和歌に焦点を当てながら、源氏物語を読み進めていきますが、物語の和歌は、その和歌がどのような場面で、どのような心理状態で詠まれているのかを知らなければ、和歌そのものの意味も正しく読みとることができません。従って、和歌だけでなく、その前後の文章や物語の流れも読んでいくことになります。
今期は若菜下巻の後半の続きを読みます。
六条院での女楽も終わりました。源氏は夕霧を相手に音楽を語り、その後、紫の上を相手に、自分の半生を述懐し、また、これまで関わってきた女性たちー葵の上、六条御息所、明石の君ーについて語ります。最後に紫の上を讃えて彼の女性論を締めくくります。しかし、その翌朝、紫の上は病に倒れ、源氏は手を尽くして看病しますが、験は無く、場所を変えてはと、彼女を二条院に移しました。ここでも源氏は彼女に付きっきりになることが多く、六条院を留守にすることが増えました。ところがその隙をついて、源氏が想像もしなかったことが起こってしまいました。その頃、柏木は女三の宮の姉にあたる女二の宮と結婚していたのですが、女三の宮への思慕はますます強くなり、例の小侍従の手引きによって、ついに女三の宮と逢い、契りを結んでしまったのでした。女三の宮は懐妊し、怪しんだ源氏は女三の宮への柏木の手紙を見つけて、ことの真相を知ってしまいます。柏木と女三の宮はそれぞれに罪悪感と恐怖に襲われる日々を過ごすことになるのでした。
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