< 講座概要 >
第一、四、六、八、九、十の計6回は草場の『記紀歌謡』で、前回の続きを致します。文字のなかった時代の日本語は口承の文学で、奈良時代に文字にうつされたとはいえ、相当に古いものと見られます。それが昔の記録のかたちだったわけで、母音の数も8母音、今より3母音多いことは、その古さの証拠となります。奈良時代より更に昔、日本人は何を思い、何を考えていたのでしょうか。そんなロマンに迫ります。
漢文篇では、永井担当、以前同様『列女伝』を読みます。『列女伝』は中国古代の著名な女性達の逸話集ともいうべき書物で、前漢の学者劉向により編纂されました。今回は、戦国時代楚国の重臣江乙の母の伝を取り上げます。
尚、漢文篇に於いては、復文練習を行います。復文練習は、字数を決めておいて、書き下し文を原文に戻す稽古法です。この稽古法は、漢文の句形・文法を身に付ける上で大いに効果があります。『列女伝』のテキスト・復文の問題・解答は、全てプリントして配布致します。
< 受講生へのメッセージ >
現存する最古の日本文学は、「文学(ぶんがく)」という虚構の世界のものなのでしょうか。それは文字(もじ)を持たなかった古代日本人が、記録すべきと考え、口承という記録手段に頼り、残した記録なのです。今から約九十年前にその研究に着手し、日本で初めて『記紀歌謡』に関する著書を残した亡父相磯貞三の思いを継ぎ、古代の心を考えます。
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