< 講座概要 >
[授業方法]
ノートPC必携。講義は教科書に沿って進め、適宜PPT形式にまとめた補助資料を参照する。基本は工学部三学科合同での授業だが、途中各学科に分かれてより専門的な講義と学内設備の見学等を行う。受講者は聴講に加え、与えられた演習課題やワークシートに取り組みながらサステイナブル工学に関する全般的な知識と評価手法の要点を習得していく。また、講義の中間および最終段階では提示された課題についてグループ討議等を行い、問題の理解度を受講者が相互に確かめつつ解決策を検討する。さらに、各受講者が議論を通じた自身の考察内容を個別のレポートにまとめ、知識の整理と高度化を図る。
[準備学習]
授業前に必ず下記教科書の当該部分を一読し、概要を把握しておく。授業後は教科書に掲載された演習問題に取り組むとともに、講義や討議の内容を次回までに整理する。高校卒業程度の基礎学力と一般常識、さらには環境やエネルギー問題に関する通常の認識があれば十分理解できる。教科書は理科系大学の初学年生を念頭に作成してある。
[履修上の注意]
本講義で多くのデータを紹介する「環境白書」および「エネルギー白書」の最新版をダウンロードし、講義期間中に一度は必ず目を通すこと。
[成績評価方法・基準(科目等履修生のみ)]
授業への取組姿勢(30%)、演習課題等による理解度チェック(20%)、レポートの内容(20%)、期末試験の成績(30%)により総合的に評価する。なお、各%は目安である。
[教科書]
芝池成人編著「サステイナブル工学基礎」(コロナ社、2018)
[参考書]
環境省「環境白書」および資源エネルギー庁「エネルギー白書」(ともに政府HPより入手可能)。他に、東京商工会議所編「環境社会検定試験eco検定公式テキスト改訂3版」(日本能率協会、2012)、等
[授業計画]
第1回:サステイナブル工学入門(概要、ライフサイクル思考、役割)
第2回:環境問題の現状(全体像、地球温暖化問題、その他の環境問題)
第3回:エネルギー問題の動向(エネルギー情勢、対策、省エネ技術)
第4回:サステイナブル工学の個別課題(学科別の技術課題や対策事例)
第5回:サステイナブル材料(応用化学分野の技術課題や対策事例)
第6回:サステイナブル設計・製造(機械工学分野の技術課題や対策事例)
第7回:サステイナブル電気電子工学(電気電子工学分野の技術課題や対策事例)
第8回:学内施設の見学(原動設備、ゴミ収集場、再生可能エネルギー実験施設)
*第4回〜第8回は学科別の授業とし、第5回〜第8回の開講順序は学科により異なる。
第9回:中間まとめ(前半の復習、ワークシート作成)
第10回:グループ討議1(環境問題等について討論、レポート作成)
第11回:ライフサイクルアセスメント(概要、国際標準規格の内容)
第12回:製品の環境効率評価(概要、ファクターX、等)
第13回:サステイナビリティの評価(各種評価指標、全体評価)
第14回:グループ討議2(製品評価等について討論、レポート作成)
第15回:サステイナブル工学の展望(最終まとめ)
< 受講生へのメッセージ >
サステイナブル工学とは、持続可能な社会(サステイナブル社会)の実現に貢献するために、研究や技術開発において、ライフサイクル思考に基づいてplanet(地球環境との調和)、people(生活の質の向上)、prosperity(経済の活性化)という3つの視点を同時に考慮し、それぞれを望ましい水準に保つとともに、将来に渡って維持・向上する方向でのアプローチを実践する工学である。
本授業では、サステイナブル工学を実践する研究者や技術者の必須要件として、工学技術の新たな基盤となるライフサイクル思考をはじめ、環境やエネルギーの問題とその解決に向けた機械工学、電気電子工学、応用化学の各分野における技術的な課題や対策事例、ならびに製品等のサステイナビリティの測定に有効な指標や分析・評価を可能とするライフサイクルアセスメント等の手法について包括的に学ぶ。企業において製品や組織の環境パフォーマンス改善とそのマネジメント手法の国際規格制定に従事した実務経験に基づく講義が行われ、サステイナブル社会を実現するために必要となる論理的な思考力と分析・評価能力が身につく実践的科目である。
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