< 講座概要 >
源氏物語には800首近い和歌が含まれています。和歌は、その機能によって贈答歌、独詠歌、唱和歌の3つに分類されますが、源氏物語の作者は、この和歌の機能を見事に活かしてすばらしい作品を書き上げています。この講座では、それらの和歌に焦点を当てながら、源氏物語を読み進めていきますが、物語の和歌は、その和歌がどのような場面で、どのような心理状態で詠まれているのかを知らなければ、和歌そのものの意味も正しく読みとることができません。従って、和歌だけでなく、その前後の文章や物語の流れも読んでいくことになります。
今期は、横笛巻の続きと鈴虫巻を読む予定です。
秋の夕暮れ、落葉の宮を見舞った夕霧は、宮の母御息所から、柏木遺愛の横笛を贈られます。その夜、夢に柏木が現れ、笛を伝えたい人は他にあった、と告げました。夕霧は柏木のために供養を行い、笛の処置を源氏に相談しようと六条院を訪れました。源氏はその笛の由来を語り、自分が預かろうと言いますが、夕霧が話した柏木の遺言については、そのような覚えはないと、切り捨てました。
翌年の夏、女三の宮の持仏開眼の供養が営まれました。源氏は仏具一式を新調し、紫の上も心を合わせて準備しました。その法要は盛大ですばらしいものでしたが、女三の宮の尼姿ははかなげに見え、源氏は彼女に来世を誓うのでした。朱雀院は宮が三条宮へ移るよう勧めますが、宮を手離したくない源氏は反対します。
秋になると、源氏は宮の住む前庭を野の風情にしつらえ、鈴虫を放ちます。八月十五夜、宮を訪れた源氏は琴を弾き、二人は鈴虫の歌を唱和します。折から、夕霧や蛍兵部卿の宮なども訪れて、管弦の宴が始りました。そこへまた、冷泉院より使者が来て、源氏は一同を引き連れて参上し、詩歌管絃に夜を明かします。退出の際、秋好中宮から出家の意向を打ち明けられた源氏は、強く諫めますが、中宮は母御息所の死霊の噂に心痛し、亡き母の苦しみを少しでも軽減できたならばと願うのでした。
※本講座は「源氏物語の和歌(37)Aコース」と同じ内容です。Aコースに同時にお申込みはできません。
|