【講師】
田中 裕 上智大学名誉教授
専攻/宗教哲学・科学哲学
著書/逆説から実在へ (科学哲学・宗教哲学論考)
HPアドレス/https://www.facebook.com/yutaka.tanaka.1291
Eメールアドレス/cosmopolitan008@gmail.com
現在、統合学国際研究所(一般財団法人)理事、東西宗教交流学会会長、西田哲学会理事、日本ホワイトヘッド・プロセス学会会長
世界宗教としての仏教およびキリスト教を如何にして日本文化の中に受肉し主體的に生きることができるかを、鈴木大拙と西田幾多郎の宗教論を手引きとして考えます。まず、若き日の大拙の宗教経験、『新宗教論』の執筆、渡米後、ポール・ケーラスのもとでの仏教伝道、『起信論』英訳、『大乗仏教概論』執筆時を振り返り、そこから『日本的霊性』にいたるまでの大拙の宗教思想の展開をたどります。 とくに、白隠・盤珪・道元に遡る日本独自の禅仏教、法然・親鸞の浄土教における宗教心の自覚とその言語表現の世界を大拙と共に(大拙を超えて)考察します。次に、仏教者であった大拙の宗教論をさらに敷衍して、内村鑑三、新渡戸稲造、遠藤周作の三人のキリスト者を例にとってキリスト教と日本人の心の問題をとりあげます。そして最後に、西田幾多郎の『善の研究』および晩年の宗教論と日本文化論を手引きとして、普遍宗教と日本人の心の関係を私たち自身の現在の問題として考えます。