【講師】
岩島 忠彦 上智大学名誉教授
専攻分野/組織神学
著 作/『キリストへの道』女子パウロ、『イエス・キリストの履歴』オリエンス宗教研究所、他多数
1943年生。1972〜82年、フランクフルト・ローマ・ミュンスターで神学研究、神学博士取得。1983〜2014年、上智大学神学部勤務(教義学)。現在、日本カトリック神学院講師(教会論担当)、四ッ谷聖イグナチオ教会にてミサ・信仰講座等担当。
教会はキリストをとおして父である神が与えてくださったものである。人間集団でもある教会は、各時代の制約の下に神の恵みの業を保ち伝えてきた。古代の教会も迫害時とキリスト教公認後で根本的に異なる。中世には封建主義的社会形態の中で教会は比較的安定した位置を占める。中世後期から近世にかけては封建主義の崩壊と市民階級台頭へと向かい、教会は種々の問題を抱える。この頃宗教改革が生じ、教会分裂という新しい現象が加わる。やがてカトリック教会は社会一般の動きとは離れた形で霊的閉鎖的教会を提示した。このような様々な歴史的経緯の中で、現代と教会との有機的繋がりを回復しようとしたのが、1962〜65年に開催された第二バチカン公会議である。この公会議は16に及ぶ重要な文書を成立させた。本稿は、教会が辿った歴史的経緯を順次吟味し、最後に教会の現代化と刷新の指針となった第二バチカン公会議を詳細に検討する。