【講師】
月本 昭男 上智大学神学部神学科教授
東京大学、ドイツ・テュービンゲン大学などで学ぶ
立教大学キリスト教学科を経て上智大学神学部特任教授となる。
専攻分野/古代オリエント学、旧約聖書学、聖書考古学
著 作/『ギルがメッシュ叙事詩』『詩編の思想と信仰T〜W』
『古代メソポタミアの神話と儀礼』他
イスラエルの民にとって、モーセに率いられて、奴隷であったエジプトから脱出する出来事を記念する「過越の祭」は、一年のなかで最も重要な祝祭でした。それは、今日まで、ユダヤ教徒の間で守られてきています。モーセの律法においても、その基礎となる十戒は前文でエジプトの奴隷からの解放を語ります。孤児や寡婦、奴隷や寄留者の保護を定めた社会法は、彼らがエジプトで奴隷であったことがその根拠となりました。このように「出エジプト」は、古代イスラエルの人々にとって、民族の歴史の起点、信仰の原点となる物語伝承でした。
本講座では、旧約聖書『出エジプト記』を読み進めながら、「出エジプト」物語の成立やその歴史的背景を考え、そこに籠められた意味を探ってゆきましょう。