【2023年度春学期】
教皇フランシスコが環境問題についての回勅『ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に』は、信徒に限らず世界中の多くの人々に広く読まれています。 教皇はこの文書の中で、脆弱な自然と社会の中で弱く貧しくされた人々の密接なつながりを繰り返し強調しています。そして、私たちの本来のあり方として、キリスト教ヒューマニズムにもとづく「インテグラルエコロジー」の概念を提示しています。
「インテグラルエコロジー」とは、かかわり存在としての人間観にもとづくエコロジー概念で、人間が有する4つの基本的な関係軸「自己とのかかわり」、「他者とのかかわり」、「自然とのかかわり」、「神とのかかわり」の本来の調和をしめしています。
本講座では、インテグラルエコロジーを参照しつつ、持続可能な社会をつくるヒントを、ローカルベンチャー事業、困難を抱えた若者の居場所や協働の場づくりに取り組んでおられる方々の実践に学びながら、超越的な次元をふまえてキリスト教人間学的に、持続可能な社会と生きる意味や価値を考えてみたいと思います。
<開講のねらい>
SDGsの取り組みや持続可能な社会づくりは、すべての人々にとって“シチズンシップ(市民性)”にかかわる共通の課題です。本講座では、経済的・技術的アプローチのみならず、超越的な次元をふまえた人間理解に連なる倫理的・社会的アプローチを視野に入れて、多様な次元の持続可能性について考えてみることを重視しています。
<関連キーワード>
「持続可能な社会」「インクルーシブな社会」「社会関係資本」「ソーシャルインクルージョン」「レジリエンス」「ローカルSDGs」「だれ一人取り残さない」「キリスト教ヒューマニズム」「キリスト教人間学」「全人的人間観」「内なる環境」『ラウダート・シ』「インテグラルエコロジー」「教皇フランシスコ」「かかわりの存在と、持続可能な地域の担い手」「シチズンシップ教育」「環境教育」「全人教育」
<ディスカッションの頻度・割合等>
状況に応じて、ディスカッションの可能性あり
個人発表 :なし
チーム発表 :なし
ロールプレイング :なし
テーマに関する事前知識や部署経験の有無 :なくてもよい
予定講師陣
■吉川 まみ(上智大学基盤教育センター教授) 第1回、第2回担当予定
■山内 幸治(NPO法人ETIC. シニアコーディネーター / Co-Founder) 第3回担当予定
■白幡 眞生(NPO法人 青少年の居場所 『Kiitosキートス』代表) 第4回担当予定
■伊藤 幸史(「信州風の家」代表、(宗)カトリック新潟教区 カトリック糸魚川教会 主任司祭) 第5回担当予定
■ホアン・アイダル, S.J.(上智大学神学部教授、イエズス会司祭) 第6回担当予定
*参考文献
教皇フランシスコ著, 『回勅ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に』(瀬本正之・吉川まみ訳, カトリック中央協議会,2016年発行) 1,400円+税 ISBN978-4-87750-199-0 C0016