【2022年度秋学期】
企業活動と環境法といえば、これまでは、規制基準へのコンプライアンス(法令遵守)が中心となっていました。たしかに、産業廃棄物の不法投棄や工場排水の基準違反が報道されると、その企業には、大きな社会的ダメージが発生します。このため、企業は、環境法令遵守に相当の注意を払ってきましたが、ともすればそれは、工場・事業場における最低限度の取組みにとどまる傾向がありました。
「必要以上の取組み」を、マイナスと評価する企業もあります。しかし、そのような発想しかできない企業を、投資家はマイナス評価するようになっています。企業は、地域社会、マーケット、そして、地球という、より大きな枠組み・コンテキストのなかで、自社の進むべき方向を考えなければならないのです。そうした企業の変容は、環境法政策のあり方にも影響を与えるでしょう。
本講座においては、社会的存在である企業の環境活動のあり方を、環境コンプライアンス、ESG(環境・社会・ガバナンス)、SDGs(持続可能な発展目標)という枠組みのもとに位置づけます。そして、毎回の講義においては、それぞれの企業がどのような価値や理念を認識し、どのような意思決定体制を整備し、どのような措置を講じるべきなのかを具体的に検討します。ひとつの企業は、顧客、従業員、地域コミュニティ、同業他社、機関投資家、環境団体、マーケット、将来世代など、さまざまなアクターの「眼」のもとにあります。講義や討論を通じて、それぞれの企業にとっての方向性を探究しましょう。
<関連キーワード>
「カーボンニュートラル」「脱炭素」「カーボンプライシング」「NPO」「EU」「海洋プラスチック」
「生物多様性」「サーキュラーエコノミー」「循環経済」「企業」「環境法」「地球温暖化」「廃棄物」「3R」
予定講師陣
■金子 周平 (経済産業省 エネルギー・環境イノベーション戦略室 総括補佐) 第1回予定
■深津 功二(TMI総合法律事務所・弁護士) 第2回予定
■川江 心一(WWFジャパン森林・野生生物室長) 第3回予定
■新井 理恵(株式会社三菱総合研究所 サステナビリティ本部) 第4回予定
■井田 徹治(共同通信 編集委員) 第5回予定
■細田 衛士(東海大学政治経済学部経済学科 教授) 第6回予定
コーディネーター ■北村 喜宣(上智大学教授)
共同企画者 ■安達 宏之(有限会社 洛思社 代表取締役)