20世紀末からの情報や経済の急激なグローバリゼーションによって、今日ではもはや一世代前の政治や軍事、経済の方法さえ通じなくなりました。他方で新型コロナのパンデミックは世界大戦に匹敵する厄災となり、移動制限やワクチン・ナショナリズムのようなローカリズムが急速に台頭しています。世界は今、何を目ざし、何を守ろうとしているのでしょうか。世界観の羅針盤がめまぐるしく変化する時代だからこそ、移り変わる表象文化の根底にある思想をしっかりと見据えておかなければなりません。さもないと個人も社会も、目前の事実とその対応策に振り回されるだけになってしまうでしょう。
この講座ではグローバリゼーションやローカライゼーションの根底を哲学的に検討するとともに、いくつかの具体的な各論を扱い、各論では識者を招いて、質疑応答を交えつつ一緒に考えていきたいと思います。いずれの問題においても、変化する現実の根本にある人間観、世界観を見直すことによって、表層の地滑り的な変動に飲み込まれないための構築的視座と先見の明を確保することを目ざします。
いずれの回も日本語による60分程度の講義と30分程度の質疑・討議を予定しています。今後の状況によってはオンライン講義になる可能性もありますが、可能であれば、少なくとも第1回と第6回は面談授業にして、直接にお目にかかりたいと考えています。
予定講師陣
■大橋容一郎(上智大学文学部哲学科教授、放送大学客員教授、前日本カント協会会長)
■榊原洋一(日本こども学会理事長、CRN所長、前お茶の水女子大学副学長、医師)
■吉田幸司(クロス・フィロソフィーズ(株)代表取締役社長、哲学シンキング研究所センター長)
■加藤泰史(前日本哲学会会長、一橋大名誉教授、椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授)
他(予定)
8/24 予定講師陣に加藤泰史氏を追加。また、11/11講義タイトルを変更しました。