【コーディネーター】
佐藤 直子 上智大学文学部哲学科教授
上智大学中世思想研究所所長
専攻分野/中世思想、形而上学
著 作/企画・編著:上智大学中世思想研究所編『中世における制度と知』(知泉書館、2016年)、他。
上智大学中世思想研究所: http://imdthght-sophia.sakura.ne.jp
上智大学中世思想研究所: imdthght@sophia.ac.jp
【講師】
田中 裕 上智大学名誉教授 科学哲学・宗教哲学
『逆説から実在へ:科学哲学・宗教哲学論考』(行路社、1993年)、『ホワイトヘッドー有機体の哲学』(講談社、1998年)、共著『宗教的共生と科学』 (上智大学神学部教科書シリーズ4) 「第2章 共生の哲学」(教友社、2014年)ほか多数。
阿部 善彦 立教大学文学部准教授/中世思想研究所準所員
坂本 邦暢 明治大学専任講師/中世思想研究所準所員
淵田 仁 一橋大学ジュニアフェロー特任講師
梅田 孝太 上智大学文学部哲学科非常勤講師
科学的世界観は私たちの日常的な思考にとって強固な前提となっています。他方グローバル化が進む今日、宗教的世界観もまた、諸文化の価値の多様性と人間の根本的倫理観を底支えするものとして再認識されています。実のところ、「科学」と「宗教」との関係は単なる二項対立ではありません。思想史的にも、科学的世界観の出現が宗教的思惟の牽引する「中世」にピリオドを打つ、といった単純な話ではないのです。
本講座では、近代自然科学の幕開けを象徴するガリレオ裁判、デカルトの合理主義、ルソーの学問観、ニーチェのニヒリズム、西欧近代批判を辿り、「科学」と「宗教」が織り成す複雑な問題系を探っていきます。これを踏まえて、最終回では、「科学と宗教の対立」という近代のヨーロッパに特有の図式を相対化し、ガリレオに始まる近代科学と宗教的な世界観の両者に潜む独断を批判したフッサール、ホワイトヘッド、および日本の京都学派の哲学者達の思惟を踏まえたうえで、現代の「科学と宗教の統合」を試みます。