【講師】
田中 裕 上智大学名誉教授
専攻/宗教哲学・科学哲学
著書/逆説から実在へ (科学哲学・宗教哲学論考)
HPアドレス/https://www.facebook.com/yutaka.tanaka.1291
Eメールアドレス/cosmopolitan008@gmail.com
現在、統合学国際研究所(一般財団法人)理事、東西宗教交流学会会長、西田哲学会理事、日本ホワイトヘッド・プロセス学会会長
聖徳太子の時代に始まり、鎌倉時代の親鸞・道元・日蓮に至るまでの日本仏教の成立の原点に立ち返りつつ、日本人の心とは何であったかを改めて問うことが講義の主題です。仏教がどのように日本独自の文化を形成し、「日本的霊性」の顕現となりえたかを、とくに鈴木大拙の終戦直後の諸著作を参照しつつ考えます。それは仏教の日本における受容史の問題に尽きるものではありません。グローバリズムとローカリズムの危機的対立状況は、二つの世界大戦の悲劇を経験した後でも未解決の問題です。文明(普遍性・世界性・国際主義)と文化(特殊性・大地性・国家主義)の対立を超えて両者を統合する場所は何処にあるか、この問題を、掛け替えのない歴史的かつ創造的生を生きる一人一人の個人の宗教的自覚と結びつけた鈴木大拙と西田幾多郎の著作から学びつつ、戦後70年を過ぎた現代において再考したいと思います。