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< 講座概要 >
江戸時代後期、今の村長にあたる名主(庄屋、肝煎)を「入札(いれふだ)」と呼ばれた選挙で選ぶ村が全国のあちこちに現れてきました。名主と補佐役の組頭による村政運営を監視する百姓代というポストも創設されるようになりました。
封建制という言葉で片づけられることの多い幕藩体制でしたが、その末端では入札による代表制、百姓代による権力の分立が生まれるなど高度な自治が発展していたのです。さらに入札も百姓代も「村方騒動」と呼ばれる一般農民による村政改革運動によって導入されています。
現在の民主主義と比べれば、不完全でしたが、江戸時代の村々に年貢負担などをめぐり、平等と公平を求める「民主的傾向」が存在していたことは間違いありません。それがどのようなものであったのか、どのように生まれたのかを探ることは、民主主義を欧米由来のものではなく、わがものとすることにつながります。
世界的な問題となっている「民主主義の危機」をどう克服するのか。ご先祖様の試行錯誤から学んでいきましょう。
【テキスト】 事前にご用意ください
『「江戸の選挙」から民主主義を考える』(柿ア明二著 、岩波ブックレット)(ISBN:978-4-00-271086-0)
テキスト代:792円
※受講料の他必要となります。
< 受講生へのメッセージ >
「民主主義」という言葉を耳にしたり、口にしたりする時、距離のようなものを感じることはありませんか。とても大事なものであることは分かるが、自分と直接関係しているという実感を持てない―。この感覚は民主主義は欧米由来であるという固定観念が要因と考えられます。
私たちの想像以上のレベルに達していた江戸時代の村の自治、それを支えた入札などの民主的傾向を知ることは、民主主義との距離を解消する手だての一つです。講義がその一助になれば幸いです。
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