< 講座概要 >
近年世界的に評価の高い韓国の美しい現代絵本を鑑賞しながら、隣国の文学・歴史・文化を学びます。
本講座では、日本の大正時代の『赤い鳥』に比較される朝鮮初の近代的児童文芸誌『オリニ』誌上で1927年に発表された方定煥(パン・ジョンファン)の少年小説を丁寧に読みます。
方定煥は、近代朝鮮に童話や童謡の種をまき、子どもの人権尊重を訴え「オリニ(子ども)運動」を展開した<韓国の子どもの父>として敬愛されています。
韓国のアンデルセンともいわれる方定煥は、植民地時代を生きる少年の姿をどのように描いたのでしょうか。忍耐心と根気強さ、痛みを抱えた人々への思いやりと優しさ、前向きで明るさを失わない勇気と希望。美しい絵本となった近代小説で、ハングルと隣人の心に触れる感動を体験いたします。
【持ち物】 筆記用具
*「万年シャツ」の原文、ハングルテキストを丁寧に読みます。受講者はハングルが読めないことを前提に、ハングルの入門から分かり易く解説いたします。
*隣国の代表的な近代少年小説を原文で読み、その背景(歴史・文化・心情)を理解しながら、ノーベル文学賞作家を輩出した韓国の文学と社会の一側面を探究したいと思います。
『万年シャツ』詩:方定煥/絵:キム・セヒョン(キルボッオリニ、初版1999 年)(未邦訳)
< 受講生へのメッセージ >
私が初めて<韓国>に出会ったのは1988年、ソウルオリンピックの年です。ハングル文字を見たのも、韓国語の響きを聞いたのもこの時が初めてでした。そしてこの年、韓国人作家による初めての現代韓国絵本が誕生しました。それから30年以上が経過し、小さなノーベル賞とよばれる国際アンデルセン賞を受賞する絵本作家(スージー・リー)が生まれ、ついにノーベル文学賞受賞作家(ハン・ガン)も生まれた韓国。歴史的にも日本と関係の深い、隣人の暮らしと文化に興味は尽きません。
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