< 講座概要 >
韓国の人々に愛され、国民愛唱歌として歌い継がれている「パンダル(半月)」「故郷の春」「オッパセンガク(兄さま想い)」は、ハングルで書かれた近代の新しい詩であり、当時の朝鮮の人々の情感がこめられた童謡です。創作されて100年を迎えました。今も歌い継がれ人々の心に生きる国民愛唱歌誕生の背景を韓国における近代児童文学成立史の観点からたずねます。
儒教倫理の長幼の序に厳しい朝鮮で、歴史上初めて子どもの人権や童心を尊重する「オリニ運動」を行ったといわれる方定換(パン・ジョンファン)は、朝鮮半島の子ども(オリニ)の父として、近代偉人の一人に挙げられます。日本の大正期の『赤い鳥』に比較される朝鮮初の芸術的児童文芸誌『オリニ(子ども)』(1923年創刊)を創刊し、ハングルで書かれた童話や童謡を通して朝鮮の子どもたちに愛と希望を与えました。近代オリニ運動と童謡誕生の歴史をふりかえりながら、隣人の暮らしと心情を理解します。
< 受講生へのメッセージ >
私が初めて<韓国>に出会ったのは1988年、ソウルオリンピックの年です。ハングル文字を見たのも、韓国語の響きを聞いたのもこの時が初めてでした。そしてこの年、韓国人作家による初めての現代韓国絵本が誕生しました。それから37年が経ち、小さなノーベル賞とよばれる国際アンデルセン賞を受賞する絵本作家(スージー・リー)が生まれ、ついにノーベル文学賞受賞作家(ハン・ガン)も生まれた韓国。歴史的にも日本と関係の深い、隣人の暮らしと文化に興味は尽きません。
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