< 講座概要 >
戦後、日本のマンガはその表現様式を変化させ、それに伴い、語り得る物語の質も大きく変容していきました。これに関わった人物のひとりとして、日本でもっとも有名なマンガ家である手恷。虫がいます。本講座では、1940年代後半から50年代前半にかけて、手怩ェそのキャリアの初期に発表した作品とそのリメイク版とを取り上げ、冒険譚に終始したオリジナルに対し、リメイク版では登場人物の内面的変化が盛りこまれていることを示します。この物語的変化は、同時期の映画から着想を得た場面転換やコマ展開の際の工夫によって支えられていました。マンガ表現論やメディア論の知見を生かしながら、表現領域を越えた影響関係にも目を向け、マンガが現在のような物語メディアになる過程を追います。
※令和6年度前期講座と概ね同じ内容です。
< 受講生へのメッセージ >
「マンガ研究」が大学でも扱うに足る学問領域として自立してから、もう30年近くになります。ふだんマンガを読んでいるだけでは気がつかないかもしれませんが、マンガにはさまざまな読みのルールが存在しています。そして、そうしたルールは当初から存在したわけではなく、歴史的に形成されてきたものでもあります。このようなマンガ研究の視点を体感してもらうことは、日々のマンガ経験を豊かにすることにも繋がっていくでしょう。
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