< 講座概要 >
■授業の目的及び到達目標
東南アジア各国の社会を理解した上で、政治・歴史、経済構造、各国が抱える課題について理解し、多様な東南アジア各国を、国別に比較し理解を深めることを目的とする。
東南アジアについて、体系的に理解し、自らの言葉で東南アジアについて議論、分析ができる水準に達することを到達目標とする。
■授業計画
1 イントロダクション、東南アジア概観
講義全体の流れを解説するとともに、東南アジアの地理的特性(陸のアジア、海のアジア)や歴史、宗教・人種・民族、経済など、東南アジアの全体像について概説する。
2 タイ
タイの社会、王室や軍、政党など政治構造の特徴を理解する。
3 タイ
タイの経済発展、バンコクを中心とする産業集積、タイが直面する中所得国の罠や近年の経済政策について説明する。
4 インドネシア
東南アジアの大国であるインドネシアの社会、国家形成の特徴、スハルト元大統領時代から現在の政治構造への変遷を理解する。
5 インドネシア
インドネシアの自動車をはじめとする産業構造、経済政策を説明する。
6 シンガポール
シンガポール社会、政治史、統治体制について学ぶ。
7 シンガポール
これまでの経済発展の特徴、産業・誘致政策、アジアのハブとなっている投資環境を理解した上で、直面する課題を説明する。
8 マレーシア
小テスト及びフィードバックとしての解説を行う(進捗に応じて実施日を変更する場合がある)。
多様な民族構造を反映したブミプトラ政策、マハテイール元首相時代からのエレクトロニクス(電気・電子産業)を中心とする輸出主導型の成長や近年のインフラ開発などの経済政策を理解する。
9 フィリピン
フィリピンの歴史・政治を概観した上で、海外からの送金に支えられる経済や投資環境について説明する。
10 ベトナム
ベトナムの歴史やドイモイ政策以降の経済改革を概観した上で、縫製業やエレクトロニクス産業など成長する産業やCPTPP参加などの通商政策について説明する。
11 カンボジア、ミャンマー
カンボジアの歴史、政治を理解し、経済面では拡大する縫製品の輸出に加え、直面する課題を説明する。ミャンマーの歴史と政治、直面する課題について説明する。
12 ラオス、ブルネイ、ASEAN
ラオスの歴史、政治構造を概観した上で、内陸国ラオスの資源、電力を中心とする産業構造や投資環境とその課題について説明する。ブルネイの政治と経済を概観する。
ASEANの形成過程を学ぶとともに、その中核となるASEAN経済共同体(AEC)について、物品貿易分野の自由化を中心に説明する。
13 学期試験、東南アジアの総括
学期試験及びフィードバックとしての解説、これまでの授業を総括する。
■教科書・参考書
【教科書】
教科書は特に指定せず、配布資料を基に授業を行う。配布資料に関連する参考文献を提示する。
【主な参考書】
川中豪・川村晃一編(2020)『教養の東南アジア現代史』ミネルヴァ書房。
今井昭夫編(2014)『東南アジアを知るための50章』明石書店。
末廣昭(2009)『タイ 中進国の模索』中公新書。
綾部真雄編(2014)『タイを知るための72章』明石書店。
佐藤百合(2011)『経済大国インドネシア 21世紀成長の条件』中公新書。
村井吉敬・佐伯津子・間瀬朋子編(2013)『現代インドネシアを知るための60章』明石書店。
田村慶子編(2016)『シンガポールを知るための65章』明石書店。
井出穣治 (2017) 『フィリピン―急成長する若き「大国」』中公新書。
大野拓司、鈴木伸隆、日下渉(2016)『フィリピンを知るための64章』明石書店。
今井昭夫・岩井美佐紀編(2012)『現代ベトナムを知るための60章』明石書店。
アジア経済研究所(各年版)『アジア動向年報』。
ジェトロ(各年版)『世界貿易投資報告』。
< 受講生へのメッセージ >
教員になる前は、政府系機関であるジェトロで調査業務に携わり、インドとシンガポールに駐在し、変貌するアジア経済、FTAを中心とする政策課題に向き合ってきました。アジア経済や通商政策について理解を深めていく楽しさをともに共有していきたいと考えています。
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