< 講座概要 >
■授業の目的及び到達目標
この授業は、日本語の歴史、特に文字・音韻・文法・語彙等の変遷に関する基礎的な知識を身につけることを目的とし、古典日本語がどのように変遷して現代日本語が成立したかについて、なにがしかの説明ができるようになることを到達目標とします。
■授業計画
1 総論、文字(1)漢字の伝来
日本語の範囲(時代・地域)、日本語の系統、日本語史の時代区分について見ていく。また、漢字の日本への伝来とその受容について、主に奈良時代までの資料によって見ていく(課題等に対するフィードバックを行う。以下毎回同様)。
2 文字(2)万葉仮名
万葉仮名による日本語表記の特徴について、主に奈良時代までの資料によって見ていく。
3 文字(3)平仮名・片仮名
平仮名と片仮名の誕生と確立について、主に平安時代の資料によって見ていく。
4 文字(4)ローマ字
キリシタン文献におけるローマ字の使い方について、主に室町時代の資料によって見ていく。
5 音韻(1)上代特殊仮名遣い
上代特殊仮名遣いに反映された上代日本語の音韻について、主に奈良時代までの資料によって、見ていく。
6 音韻(2)いろは歌・五十音図
「いろは歌」や「五十音図」に反映された古代日本語の音韻について、主に平安時代の資料によって、見ていく。
7 音韻(3)アクセント体系
古代日本語のアクセントの体系(および、その変遷)について、主に平安時代の資料によって見ていく。
8 文法(1)古代語法
古代語法(文語文法の基礎になったもの)の成立について、主に奈良時代〜平安時代の資料によって見ていく。
9 文法(2)近代語法
近代語法(口語文法につながるもの)の成立について、主に室町時代〜江戸時代の資料によって見ていく。
10 語彙(1)和語と漢語
和語と漢語の使い分けの歴史、漢語の滲透について、主に平安時代〜鎌倉時代の資料によって見ていく。
11 語彙(2)新漢語
新漢語の出現、漢語の急増について、主に明治以降の資料によって見ていく。
12 文体
日本語の文体の歴史、特に漢文訓読体や変体漢文について、広く平安時代〜明治時代以降の資料によって見ていく。
13 言語政策、まとめ
日本における言語政策の歴史、特に明治以降の国語政策、日本語政策について、主に明治以降の資料によって見ていく。また、日本語の歴史について、文字・音韻・文法・語彙等の変遷を中心にまとめる。
■教科書・参考書
教科書:『はじめて読む日本語の歴史』(沖森卓也著、ベレ出版)
参考書:『日本語全史』(沖森卓也著、ちくま新書)、『中高生からの日本語の歴史』(倉島節尚著、ちくまプリマー新書)、『日本語史概説』(沖森卓也編著、陳力衛・肥爪周二・山本真吾著、朝倉書店)、『日本語の歴史』(全8巻)(亀井孝・大藤時彦・山田俊雄編、平凡社ライブラリー)
< 受講生へのメッセージ >
みなさんのなかには、外国に留学したときなどに、その国の人に、言葉を教えてほしいと言われたことのある人もいるのではないでしょうか(実際に教えたことのある人もいるかもしれません)。自分の言葉について反省する(客観的に分析する)機会は案外少ないものです。外国語を学ぶ人は、ぜひ自分の言葉についても考えてみてください。
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