< 講座概要 >
■授業の目的及び到達目標
本授業は、日本語教育に関連したさまざまな分野を概観することで視野を広げることを目的とします。そのために、今後の専門的な学習に向けて、学習者自身で方向性を探索するための視座を得ることを目指します。授業では対話と協働的活動を取り入れ、様々な教育や実践についての理解を深めます。
■授業計画
1 ガイダンス・日本語教育と国語教育
授業の流れおよび評価方法などについて確認する。日本語教育と国語教育との違いを考える。
2 日本語教育事情(1)世界の日本語教育事情
歴史的な観点から、日本語教育について概観する。そのうえで、世界の様々な国の言語と日本語教育という視点から、各国の言語環境および国による学習者のニーズ・母語などの特徴を概観し、それぞれに違いがあることを理解する。
3 日本語教育事情(2)多文化共生社会
複言語複文化主義とその背景について確認し、「やさしい日本語」の意義について考える。
4 日本語について知る(1)主観性
日本語らしさを表す特徴について知る。日本語の主観性について理解し、英語等と比較しながら母語による捉え方の違いについて考える。
5 日本語について知る(2)共感性
日本語らしさを表す特徴について知る。共感を示すための日本語のしくみについて考える。
6 言語の捉え方(1)社会言語学
言語知識だけではカバーできない社会言語学的要素について概観する。最初に話者の属性による言語変種や言語変容について考える。
7 言語の捉え方(2)ポライトネス
コミュニケーションとは何かを考えながら、ポライトネス理論およびコミュニケーションストラテジーを確認する。
8 言語の捉え方(3)語用論
協調の原理や関連性理論などについて概略を理解する。その上で、語用論の捉え方について、経験を振り返りながら概観する。基本的な知識として、日本語の音節、アクセント、イントネーション、プロミネンスなどの音声教育について概観する。また、母語別の特徴や難しさについて考える。
9 言語学習とは(1) 第二言語習得論
言語学習において特に重要だと考えられる概念について概観する。言語間距離について理解する。
10 言語学習とは(2)学習者と心理
記憶や動機付けなどの学習における学習者心理の作用について概観する。
11 日本語教育の文法と文字
日本語教育における基本的な知識として、国語文法と日本語教育文法の違いについて理解する。また、非漢字圏の学習者と漢字圏の学習者のつまずきやすい点を整理し、教育の現状と課題について考える。
12 日本語の音の特徴
日本語の音、特に音韻の特徴について知り、学習者の習得上の困難点について理解する。
13 まとめと振り返り
第1回で持った疑問がどのように解消され、どのような知見を得たかについて共有し、レポート課題に対するフィードバックを行う。その上で、授業全体を振り返り、日本語教育に必要な知識・能力・態度について改めて考える。
■教科書・参考書
教科書:毎回の授業でテーマに関する資料を配付する。
参考書:『新・はじめての日本語教育1』(高見澤孟著(平成16年)、アスク出版社)、『新・はじめての日本語教育2』(高見澤孟著(平成16年)、アスク出版社)、『新しい日本語学入門』(スリーエーネットワーク、庵功雄著(平成24年))、『新版日本語教育辞典』(日本語教育学会編(平成17年)、大修館書店)等
< 受講生へのメッセージ >
みなさんとの出会いは一期一会ですから、この時間を大切にしていきたいです。みなさんの成長とともに、私自身もいろいろな挑戦をしながら勉強していきたいと思っています。
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