< 講座概要 >
アメリカという国は世界中の様々な国からやってきた移民によって成り立っているということは誰もが知る事実です。しかしながら、日本からアメリカへと移り住んだ人々の歴史については日本国内でもあまりよく知られていないのもまた事実です。本講演では、これまで世界の歴史の表舞台からは遠ざけられてきた日系アメリカ人が、白人を頂点とするアメリカの移民社会をどの様に生き抜いてきたのかについて見ていきます。今回は太平洋戦争の最中、アメリカ政府によって行われた日系人強制収容を経験し、日本とアメリカの間を不安定に揺らぐ運命を背負わされることとなった日系アメリカ人二世の体験をテーマとする文学作品『NO-NO BOY』(ジョン・オカダ著)や映画『AND THEN THEY CAME FOR US』などを取り扱います。そして日系アメリカ人二世の視点から、アメリカ社会を生きる人々にとって人種の違いがもたらす様々な問題を考えます。日系アメリカ人二世の人種に対する問題意識は、多様性を重視する現代社会を生きる私達にとって、多様性とは何かということを改めて捉え直すヒントを与えてくれます。
|