< 講座概要 >
今からおよそ二百年前に日野市程久保と八王子市東中野を舞台に起こった勝五郎の生まれ変わりの物語は、現在でも多くの人の耳目を集めております。この勝五郎の生まれ変わりに大きな関心を抱き取材したのが、国学者である平田篤胤(1776年〜1843年)です。平田篤胤は『勝五郎再生記聞』としてその話をまとめました。「生まれ変わり」という現象は古今東西を問わず見られ、神秘的な出来事として現在でも人気を集めますが、平田篤胤が『勝五郎再生記聞』で論じたかった趣意は、「生まれ変わり」の有る無しではなく、生まれ変わりをしたとされる勝五郎の話のなかに、日本の神々が実在している証拠が見られるということです。今回の講座では篤胤の視点から勝五郎の生まれ変わりの物語を読み解きます。
< 受講生へのメッセージ >
「生まれ変わり」があるかどうかは私には分かりません。またこの講座は、そうした神秘的な関心を持つ方には面白くないと思います。重要なのは、なぜこの時期に生まれ変わりの物語が語られ、それが幕府や朝廷を含め、当時の人々に広く注目されたのかということ、また国学者の平田篤胤はなぜ生まれ変わりの物語にわざわざ注目し、一冊の著作にまで仕立てたのかということです。
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