< 講座概要 >
『枕草子』の中には、日記的章段と呼ばれる、清少納言が女房として仕えた定子後宮での様々なできごとを描いた段が数多くあります。「日記的」といっても、日々を記録したわけではなく、記されているのは清少納言の宮仕えにまつわる記憶のなかでも特に選び取られた「場」でした。つまり、清少納言が厳選し、書き残しておきたかった定子後宮の思い出だったといえます。
この講座では、天皇家及び藤原氏をめぐる歴史と政治、当時の文化についても触れながら、中宮定子を中心とした教養・才気あふれる『枕草子』の世界を読み解いてゆきたいと思います。
今期は、道隆存命期の華やかな定子後宮に気後れする清少納言の初出仕の頃の話や、乳母・成信・大蔵卿など定子をとりまく様々な人々の話など、長短様々な話を読んでゆきます。
第1回 「宮にはじめてまゐりたるころ」(177段)@
第2回 「宮にはじめてまゐりたるころ」(177段)A
第3回 「細殿にびんなき人なむ」(222段)、「三条の宮におはしますころ」(223段)、「御乳母の大輔の命婦日向へくだるに」(224段)
第4回 「一条院をば今内裏とぞいふ」(228段)
第5回 「成信の中将こそ」(256段)、「大蔵卿ばかり耳とき人はなし」(257段)
第6回 「御前にて人々とも、また物仰せらるついでなどに」(259段)
< 受講生へのメッセージ >
今回からの受講も歓迎いたします。『枕草子』(三巻本)の日記的章段は時系列で書かれているわけではないので、どの段からでも読むことができます。
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